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狭小住宅を建てる費用
最初に、狭小住宅を建てるにはどのくらいの費用がかかるかを見ていきましょう。
目安の建築費用
狭小住宅に限らず、注文住宅を建てる際の費用としては以下のようなものがあります。
- 土地代
- 建物本体価格
- 付帯設備費用
- 諸費用
土地代はどのエリアに住宅を建てるかによって大きく変わります。特に狭小住宅の場合は、都心に建てることが多く、都心だと15坪以下の土地でも費用が高くなることが少なくありません。例えば、坪単価100万円の土地であれば15坪の土地でも1,500万円となります。次の建物本体価格はどんな住宅会社に依頼するかによって、またどんな家を建てるかによって大きく変わりますが、一般的な住宅で坪単価60~80万円程度を考えておくとよいでしょう。その他、付帯設備費用とは、屋外給排水工事費や外構工事など、建物以外にかかる費用のことで、諸費用とは住宅ローン手数料や火災保険料のことです。それぞれどのくらいの費用がかかるかは状況によって変わりますが、目安としては建物本体価格の5~10%程度を考えておくとよいでしょう。
坪単価は高くなりがち
先程、一般的な住宅で坪単価60~80万円が目安とお伝えしましたが、狭小住宅は一般的な住宅と比べて高くなりやすいです。その理由の一つとして、狭小住宅は面積が小さくなりがちということが挙げられます。これは、建物本体価格の内、壁より屋根や床は費用がかかりやすく、面積が小さい方がそれらに必要な割合が大きくなることや、面積が変わっても施工日数はそこまで変わらないため、棟梁の人件費が割高になりやすいことなどが理由として挙げられます。
狭小住宅だからといって安いと限らない
狭小住宅は面積が小さいためその分安くなると思いきや、そうとはならないことも少なくありません。以下、その理由について見ていきましょう。
縦に長いことによる追加費用
また、狭小住宅は狭い土地に住宅を建てるため、十分な延床面積を確保しようとすると、縦に活用することが求められます。具体的には、3階建てにしたり中2階やスキップフロアを設けたりすることです。2階建ての住宅の場合、通常、建築確認の段階で必要になる構図計算が免除されるという取り決めがありますが、3階建ての建物になるとこの免除を受けることができません。このため、構造計算のための費用が必要になります。住宅会社の多くはこの構造計算を自社でできないため、他社に外注する必要があるのです。また、構造計算で厳格な計算をすることで、より壁量を多くしないといけないといったことも考えられます。中2階やスキップフロアについては、2階建ての建物であれば構造計算等は不要ですが、通常の2階建てを建てるのと比べると追加で費用がかかると考える必要があります。
作業スペースの確保が困難
狭小住宅は、小さい土地に住宅を建築するため、工事のための重機の搬入が難しかったり、隣地との距離が短く、通常の足場を設置できなかったりといったことから、通常の注文住宅とは異なる設備が必要になることがあり、このために費用が割増しになるといったこともあります。また、住宅は棟梁を含め複数の業者により建築が進められますが、彼らが現場に向かうにあたり、駐車場を確保する必要があります。通常であれば土地の中に車を停めることができるのですが狭小住宅ではこれが難しく、別の場所に月極駐車場等契約して確保する必要があります。
防音対策費用
狭小住宅では隣地との距離が近いことから、防音対策が必要になります。例えば、これは一般的な建築現場でも採用することが多いですが、足場に防塵シートをかけることで隣地に音が響き渡ったり、おがくずが飛んでいくのを防いだりする効果があります。また、住宅を建てる際には近隣の家に挨拶に行きますが、狭小住宅だとより建築時に迷惑をかける可能性が高く、広い範囲に挨拶周りをする必要があるでしょう。
ローコストに建てたいなら鉄筋コンクリート造もあり
注文住宅というと木造住宅というイメージが強いかもしれませんが、狭小住宅を建てるのであれば、鉄筋コンクリート造住宅を検討するのも一つの方法です。
鉄筋コンクリートとは
鉄筋コンクリート造住宅とは、その名の通り鉄筋とコンクリートを構造体とする住宅のことです。一般的に、木造住宅と比べて頑丈な家にすることができます。また、構造としても強くなりやすく、例えば木造住宅では通常、柱と柱の間を4間(0.91m×4間=3.64m)までしか飛ばせないといった制約がありますが、鉄筋コンクリート造の住宅であればこうした制約がなく、広い空間を実現しやすくなっています。
鉄筋コンクリートは意外と安い
一般的に、木造住宅より鉄骨造住宅の方が高く、さらに鉄骨造住宅より鉄筋コンクリート造住宅の方が坪単価は高くなります。どんな住宅会社でどのような間取りの住宅を建てるかによっても大きく異なりますが、例えば木造住宅の坪単価を60~80万円程度とした場合、鉄筋コンクリート造住宅は坪単価80~100万円と考える必要があるでしょう。それでも、鉄筋コンクリート造住宅が意外と安いといえる理由としては、その法定耐用年数の長さにあります。住宅は年数が経過することで劣化していきますが、劣化により、建物が何年持つかを示したものが法定耐用年数です。例えば、居住用の建物では、木造住宅の法定耐用年数は33年となっていますが、鉄筋コンクリート造の住宅だと法定耐用年数は70年です。法定耐用年数が長いと、売却時に購入者が長い借入年数で住宅ローンを組みやすいといったメリットがあります。ただし、法定耐用年数はあくまでも法律上定められた耐用年数であり、実際の耐用年数(いつまで建物に住めるか)はそれより長いこともあれば短いこともある点に注意が必要です。
鉄筋コンクリート造が狭小住宅に合っている理由
狭小住宅において、なぜ鉄筋コンクリート造も検討してみることがおすすめなのでしょうか?ここでは、その理由をいくつかご紹介したいと思います。
デザイン性の高い家になる
鉄筋コンクリート造の住宅は、コンクリート打ちっぱなしの外観にできたり、また間取りについても大空間を確保した間取にできたりなど、デザイン性の高い間取りにしやすくなります。狭小住宅だとどうしても小さい住宅というイメージを持たれやすいですが、鉄筋コンクリート造住宅にすることで小さくてもデザイン性が高くおしゃれな住宅を実現しやすいといえます。
敷地を目いっぱい活用できる
防火地域や準防火地域内に建てる建物については、建物が密集していることから火災の際に延焼を避けるため、耐火用の素材を用いるなどの対策が必要となります。特に鉄筋コンクリート造の場合、耐火建築物と見なされ、建ぺい率について10%の緩和を受けることができます。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことで、建ぺい率の緩和を受けることができれば、それだけ敷地を目いっぱい活用できることになります。ただし、この建ぺい率の緩和は防火地域や準防火地域内にある建物だけという点に注意が必要です。
防音の性能が高い
狭小住宅は隣家との距離が近くなりやすく、騒音問題に悩まされやすいです。この点、鉄筋コンクリート住宅は木造住宅と比べて防音性が高いのが一般的で、この点でも狭小住宅に鉄筋コンクリート造が向いているということができます。
地震や火事に強い
また、これは狭小住宅に限らずですが、鉄筋コンクリート造住宅は木造住宅より地震や火事に強いと言われています。ここ数年、日本は各地で災害が起こっていて、災害に対する意識が高くなっている方が多いですが、安心して住むことのできる住宅としておすすめだといえるでしょう。
狭小住宅のコストダウンのコツ
最後に、狭小住宅のコストダウンのコツを見ていきたいと思います。
部屋の仕切りを減らす
まず、部屋の仕切りを減らすことを考えてみましょう。仕切りを1つ減らすだけでもそれに必要な木材などの費用を浮かすことができます。また、狭小住宅の場合、小さい面積でも開放感のある間取りにすることで広く感じさせることができるため、二重の意味でメリットがあるといえます。
シンプルな形状にする
狭小住宅に限らず、住宅はできるだけ凹凸の少ない間取りの方が費用を安く抑えることができます。単純に壁の量で考えてみると分かりやすいのですが、完全に真四角の住宅と、凹凸のある住宅を比べてみると、後者は壁量が多くなることが分かると思います。また、きれいな四角であっても、長方形のものより正方形のものの方が安くなります。これも上記と同じ理由で、例えば、20㎡分のスペースを壁で覆うことを考えると、幅2m、奥行10mだと、2m+10m+2m+10mで22m分の壁が必要になりますが、幅4m、奥行き5mだと4m+5m+4m+5m=18mと後者の方が必要な壁量が少なくなることが分かります。このように、シンプルな形状の間取りにすることが建築費用を安くすることにつながります。
総2階の間取りが一番安い
なお、狭小住宅では難しい面もありますが、住宅を建てるにあたっては、基本的には総2階建ての間取りが一番安いと考えておくとよいでしょう。まず、平屋と2階建てを比較すると、同じ面積であれば平屋の住宅の方が建築費は高くなります。これは、何故かというと建築費の中で基礎の部分と屋根の部分の材料費や施工費が高くなりやすく、2階建てより平屋建ての方が屋根の部分の面積や基礎の部分の面積が大きくなるからです。それなら、3階建てにすれば一番屋根と基礎が小さくなるから建築費も安くなるのではと推測が立ちますが、冒頭でお伝えした通り、住宅の建築において、2階建て以下の建物は構造計算が免除されていますが、3階建て以上の建物は構造計算をしなければならないこととなっています。このため、構造計算自体にお金がかかるのに加え、基準に足る構造にするには、壁量や柱の量を多くする必要があることが多く、このため2階建てより3階建ての方が高くなりやすいのです。また、同じ2階建てでも1階の広さと2階の広さが異なる間取りより、1階の広さと2階の広さが全く同じ総2階の間取りの方が建築費は安くなります。これは、先にお伝えした通り、住宅の建築費の中で屋根や基礎にかかる費用が高く、総2階の住宅と、1階と2階の面積が異なる2階建てとでは、同じ面積であれば前者の方が屋根や基礎の部分を少なくできるというのが理由です。狭小住宅で総2階となると、建ぺい率のことを考えると最大でも20坪強程度の建物しか建てることができず、それ以上の面積を確保しようと思えば、3階建てにする等縦に活用するのが一般的ですが、上記の考え方は、3階建ての間取りを考える際にも役立つものなので、覚えておくとよいでしょう。
複数の業者を比較する
最後に、狭小住宅を建てるにあたり、見積もりを取る住宅会社については最初から1社に絞るのではなく、複数の業者に依頼するようにしましょう。というのも、例え全く同じ間取りや素材であっても、住宅会社によって仕入れルートや利益率が異なるため、見積もり額が変わるからです。また、例えば同じだけの性能を確保できるのであれば、A社よりB社のプランの方が良いといったことも、見積もりを始めて分かることが少なくありません。特に最初の段階で、間取りや住宅設備についてそこまで詳しくない場合には、複数の業者に問い合わせをして、見積もりを取る等している内に狭小住宅についての知識が深まるといった効果も期待できます。
費用は会社によっても大きく変わる
狭小住宅の建築費の考え方や安くするコツ等ご紹介しました。狭小住宅は一般的な住宅と比べて、縦に活用するためのコストや、作業スペース確保のためのコストなど追加費用がかかることが多いものです。一方、こうした費用がどのくらいかかるかについては、建築を依頼する住宅会社によって大きく変わることが少なくありません。できるだけローコストで狭小住宅を建てたいと思うのであれば、特に狭小住宅を得意とする住宅会社を選んで、複数の業者に見積もりを依頼し、より安い価格で家を建ててくれる業者を選ぶようにするとよいでしょう。
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