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土地あり・土地なしで、何が変わる?
マイホーム建設の際に、すでに土地を持っているか、そうでないかで変わる部分は大きく分けて「費用面」と「期間の面」です。ここでは、それぞれについて土地の有無で具体的にどのくらい変わるものなのかを解説していきます。
費用面
まずは、費用面についてです。当たり前のことですが、土地をすでに所有している方は土地代が不要となるため、その分費用面で土地を持っていない人に比べて安く抑えることができます。もしくは、その分建物にお金をかけることができるとも言えます。では、具体的な金額はどの程度なのか見ていきましょう。住宅支援機構が発表した2019年度の全国における注文住宅(土地取得済み)の建設費の平均値は3452.4万円となっています。年齢は平均43.3歳、家族数は平均3.7人、世帯年収は598.1万円で1か月当たり予定返済額は93,300円です。一方で、あらかじめ土地を取得していない注文住宅の場合は、建設費の平均値が2874.3万円であり、土地取得費の平均値が1382.5万円となっています。年齢は平均37.6歳、家族数は平均3.3人、世帯年収は627.5万円で1か月当たり予定返済額は117,100円です。これらはあくまで平均的な数値ではありますが、一般的に言って、すでに土地を所有している人は、年収が低くとも土地を所有していない人に比べて、建設費に平均で500万円以上も多くかけることができ、さらに1か月当たり予定返済額も平均で20,000円以上も安いということがわかります。
期間の面
では、期間の面ではどの程度変わってくるのか見てみましょう。土地の状態にも寄りますが、所有している場合、極端な話ハウスメーカーを決めてしまえば、マイホームづくりに取り掛かることが可能です。もちろん、土地の所有者であっても、まずは地盤調査が必要であったり、場合によっては建物がまだ建っていたりということもあり得るため、その場合には解体から行う必要があるでしょう。しかし、土地を所有していない場合は、土地探しから始めることになるため、希望の条件に合う土地が見つからない限り、マイホームの着工には取り掛かることができません。また、実際に土地が見つかったとしても各種手続き等を考慮すると、そこからさらに1~2ヵ月は期間を要します。よって、土地をすでに所有しているかどうかで、短くても数か月単位、長ければ年単位の期間の差が生まれると言えるでしょう。
建築費ごとの注文住宅のイメージ
土地の有無によって、注文住宅の建築費の平均値にも差があることは前述しましたが、では、建築費の違いでマイホームにどのような違いがあるのかについて見ていきましょう。ここでは、建築費を4段階に分けて解説します。
1,000万円台まで
建築費が1,000万円台となると、予算としては相場よりもかなり低いのが現状です。そのため、外観や間取りもシンプルであり、全体的にコストを抑えた家づくりとなります。材料費を抑えるため、外観はもちろん、住宅設備や内装についても高機能なものは極力省かれ、最低限の機能のものとなることが多いでしょう。シンプルであるがゆえに、施工期間も一般的な注文住宅よりも早い場合が多く、発注先としては、地方の小規模な会社や、ローコスト住宅を謳う会社に依頼するイメージとなります。
2,000万円から3,000万円台
建築費が2000万円~3000万円台になると、家のグレードを少しずつ上げることができるようになります。すべての希望を叶えることはさすがに厳しいですが、1,000万円台の建築費の家では諦めざるを得ないような住宅設備や材料を使ったり、間取りを少しこだわったりなど、一部実現可能な部分が出てくる価格帯と言えるでしょう。発注先としては、地方である程度有名な工務店や中小企業の建築会社などに依頼するイメージとなります。
4,000万円から5,000万円台
建築費が4,000万円~5,000万円台となると予算としては、かなりゆとりがある額となります。優先順位の高いこだわりはもちろん、多くの理想や夢を形にしたマイホームが作れると言えます。各種材料をはじめ、住宅設備に関しても上位グレードのものが採用できるでしょう。発注先としては、地方の大きなビルダーや大手ハウスメーカーなどに依頼するイメージとなります。
6,000万円以上
建築費が6,000万円以上となると、自分たちの希望やこだわりを気にせず自由に詰め込んだ家が建てられると言えるでしょう。材料や設備についても最上位グレードや最新のものが使用でき、耐震性能や外構などにも十分な費用をかけることが可能です。もちろん、それだけの稼ぎがある一部の方しか作ることのできない、いわゆる豪邸というレベルのマイホームが手に入るでしょう。発注先としては、大手ハウスメーカーはもちろん、有名な建築家などに依頼するイメージとなります。
土地を持っていてもかかる費用
土地をあらかじめ持っていても家を建てる前にしなければならないことがあり、それにはもちろん費用が発生します。その主たるものが地盤調査です。そして、もし地盤調査にて改良工事が必要という結果が出れば、その費用も発生することになります。ここでは、地盤調査費用と改良工事費用について詳しく説明します。
地盤調査費用
マイホーム建築にあたっては、建物の構造だけがよくても、家を建てる土地の地盤が強くなければ意味がありません。それを調べるためのものが地盤調査です。これは、今持っている土地にすでに家が建っており、それを解体してから改めて新築のマイホームを建てるといった場合にも必要な調査になります。一般的な地盤調査の方法としては、スウェーデン式サウンディング試験と呼ばれる方法が有名で最も使われています。一般的な住宅の敷地面積で約5万円程度の費用となることが多いようです。
地盤の改良費用
地盤調査を行った結果、地盤の改良が不要であればそれ以上の費用はかかりません。しかし、地盤の改良が必要となった場合には、改良工事の費用も負担しなければなりません。地盤の改良工事には主に3種類の工法があり、それぞれ「表層改良工法」「柱状改良工法」「鋼管杭工法」と呼ばれています。表層改良工法は、軟弱層を一度掘り返し、そこにセメント系固化剤を加え土と混ぜ合わせることで地盤を強化する工法で、費用は20坪程度で50万円程度と言われています。柱状改良工法と鋼管杭工法は表層改良工法では十分な強度を確保するのが難しい場合に使用される工法で、地中にコンクリート(もしくは鋼管)の柱を何本も注入することで地盤を強固にする工法です。費用は20坪程度の土地に50本ほどの杭を4m注入した場合で約100万円程度と言われています。このように、仮に土地を持っていたとしても、マイホームを建設する際には地盤の改良工事費用が発生することも考えられるため、しっかりと予算に組んでおくことが大切です。
親が持っている土地に建てるメリット・デメリット
マイホーム用の土地を持っているという方の中には、先に土地だけ購入していたという人もいるかもしれませんが、親が所有している土地に家を建てるというケースも多いです。そこで、ここでは親が持っている土地に家を建てるメリットとデメリットについて詳しく見てみたいと思います。
メリット
まずはメリットについて3点説明します。
土地代が掛からず、ローン返済が軽い
これが最も大きなメリットだと思いますが、土地代がかからないため、マイホームの建築費だけにお金を使うことができます。また、土地代が必要ないため、ローンの借入額も少なく返済の負担が軽いのもメリットでしょう。仮に坪40万円の土地を50坪購入した場合は諸経費まで入れると土地だけで2,000万円を超えることになりますが、これを親が所有していればそれだけ費用が浮くことなります。これは都市部に行けば行くほど、広い土地になればなるほど大きな額となると言えるでしょう。
工期が短い
最初の方でも述べましたが、土地を持っている分、工期が短く済むのも強みと言えるでしょう。土地がなければ土地探しからはじめなければならず、仮に自分たちの条件にあった土地が見つかったとしても実際に手に入るまでに数か月はかかります。しかし、親の土地に建てることが決まっていれば、あとは発注先を見つけて依頼するだけで済みます。今、賃貸に住んでいる場合には工期が短くなる分、家賃が節約できますし、家族が増えて手狭になったという場合には、少しでも早く広い家に移り住める効果は大きいと言えます。
ハウスメーカーでの話が早い
すでに土地があるとハウスメーカーでの話が早いというメリットがあります。土地にあまりこだわりがない場合はいいですが、条件がいくつかあるとハウスメーカー側としても探すのに時間がかかります。またメーカー側は土地ではなく、家で儲けを出す場合が多いため、すぐに建ててくれるお客様の方が優先されるというケースも中にはあります。ハウスメーカーさえ決まれば、その後はとんとん拍子に家づくりが進むことも珍しくないのが土地を持っている人の強みと言えるでしょう。
デメリット
では逆に、親の土地に家を建てる際のデメリットについて見ていきましょう。
贈与税や相続税が発生することもある
子が家を建てるために土地の名義を親から子へ変更した場合にかかるのが贈与税です。通常、親から子へ土地を贈与する際に、その時点での価値と同じ金額で売却することはほとんどないため「みなし贈与」となり、譲った価格と実際の価値の差額が贈与税の対象となします。さらに、もしも無償で土地を贈与した場合には、土地の時価全額が贈与税の対象となる点に注意しましょう。贈与税がかからない方法としては賃貸料を支払わずに無料で土地を使わせてもらう「使用貸借」という方法があります。通常であれば土地を借りる場合には土地の使用料として賃貸料を支払うのが一般的ですが、親子間では使用料を支払わずに借りるケースは珍しくはないでしょう。しかし、使用貸借であれば使用時には特に税金は発生しませんが、いずれ親が亡くなってその土地を相続する場合には相続税の対象となります。ここで注意しなければならないことが、使用料をもらった上で貸している土地については相続税の評価額は下がりますが、無料で貸している使用貸借の場合には評価額は下がらないため貸していない土地と同評価の相続税が課せられてしまうという点です。
エリアは選べない
親が持っている土地の場合、自分たちの好きなエリアを選べないため、場合によってはデメリットとなるでしょう。親にとってはいい場所であったとしても、勤務先や子供の学校など、自分たちの生活スタイルでは最適とは言えない場所である可能性は十分にあり得ます。土地代がかからないというメリットはありますが、自分たちにとってエリアが重要なファクターである場合には、別の土地を購入しマイホームを建てた方がトータルとしてはよかったという場合もあるため、慎重に選択しましょう。
親の意向に左右されることも
親が土地を持っていると特に費用面でのメリットが大きいことが多いですが、中にはそれ以上に親に干渉されて思うように自分たちの家づくりができなかったというケースもあるようです。親としては自分たちの土地を使わせるわけですから、多少なりとも家づくりに関わりたいという気持ちがあってもおかしくはありません。自分たちの好みと合えばまったく問題ありませんが、親の意向に左右されて自分たちのこだわりや希望が叶えられなければ本末転倒となってしまいます。親子とは言え、後々問題とならないようそういったことも含めてしっかりと事前に話し合いをしておくことはとても重要と言えます。
まとめ
土地をすでに持っているか持っていないかで、費用をはじめ様々な違いがあることがご理解いただけたでしょうか?親が土地を持っている場合など、土地代がかからない分だけ建築費にお金をかけられる上、住宅ローンの返済負担が少ないという点は特に魅力的だと思いますが、土地があるからこそのデメリットもあるため、しっかりと熟考した上で家づくりに取り掛かるのがよいでしょう。
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