失敗しない注文住宅のトイレ選びとは?設置場所・個数・種類すべて解説

大事な空間にもかかわらず、注文住宅づくりの際にあまり重視されないのが「トイレ空間」です。そして、実際に住みはじめてから、「もっとああすればよかった……」と後悔する人がたくさんいます。たしかにキッチンなどに比べれば選ぶ楽しみはないかもしれません。しかし、毎日使う大切な場所だからこそ、ほかのどの場所よりもきちんとした計画が必要なのです。そこで当記事では、トイレの設置場所・個数・種類など、トイレを設置するポイントについて詳しく解説していきます。注文住宅のトイレ設置で失敗したくない人は、ぜひ参考にしてください。

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注文住宅でトイレはどこに設置すべき?

注文住宅のトイレを計画する際に、まず考えなくてはいけないのがトイレの設置場所です。この章ではまず、トイレの設置場所の決め方について見ていきましょう。そのあとに、各設置場所のメリットとデメリットにも触れていきます。

設置場所の考え方

トイレの設置馬所を決めるポイントは主に以下の3点です。

  • におい / 音の問題
  • 動線
  • ほかの水回り器具との距離

まずトイレの位置は、においと音がほかの部屋に影響を与えない場所にするのが鉄則です。家族だけでなく来客のことも考えると、リビングやキッチンからある程度離した方が良いでしょう。1階に寝室がある間取りでは、当然寝室からも距離を取らないと、トイレの音が気になって安眠できない可能性も出てきます。ただし、介護者がいる場合は、逆にトイレは近いほうが便利です。また給排水工事の関係上、キッチン以外の水回りはできるだけ近くに配置した方が、ムダな配管をしなくて済みます。そういう意味では、トイレの場所は洗面所の隣がベストといえるでしょう。

洗面所の隣

最近は、後述する「タンクレストイレ」を選ぶ人が増えてきました。タンクレスの場合、タンクの上部で手が洗えません。しかし、洗面所が隣にあれば、トイレの中に小型の手洗いを設置しなくて済みます。また上述の通り、水回りはできる限り近くにまとめるのが基本です。ただし、来客が多い家では、洗面所のようなプライベート空間からは逆に遠ざけるという考え方もあります。

階段の下

階段下は本来デッドスペースになる場所ですので、トイレをうまく設置できれば、家全体の省スペースにもつながります。ただし、どうしても段差の関係で上部に圧迫感がありますし、横幅も狭くなりがちです。当然収納スペースも少なくなります。上記の理由から、階段下は積極的にオススメしません。どうしてもという場合は、タンクレストイレや埋込式収納などを活用して、できるだけスペースを有効活用しましょう。

玄関の横

不意の来客時にトイレから出づらいという理由から、玄関に近いトイレは敬遠されがちです。とはいえ、トイレに影響が出るほど、来客の多い家庭ばかりではないでしょう。逆に来客の立場になれば、リビングから離れた玄関近くの方が気兼ねなく使用できるはずです。ドアの位置などを工夫すれば、案外使いやすい場所といえるかもしれません。いずれにせよ、トイレの場所に正解はありません。各家庭の事情によって最適な場所は異なります。自分たちの希望を設計担当者にきちんと伝えて、ベストな位置を考えてもらいましょう。

新築のマイホームでトイレはいくつ設置すべき?

少し古いデータになりますが、インターワイヤードが2015年におこなったアンケート※によれば、自宅のトイレの数は、「1カ所61.7% / 2カ所34.4%」という結果になっています。現在はもう少し2カ所設置する人が増えている実感はありますが、いずれにしても場所と同じように、トイレの数にも明確な答えはありません。この章では、家族構成と年齢の違いによる、適正なトイレの数について解説していきます。インターワイヤード「トイレ掃除」に関するアンケート

夫婦2人と子ども2人

夫婦2人と子ども2人の世帯では、年齢・性別関係なく、2カ所はないとかなり厳しいでしょう。とくに朝の通勤・通学準備が重なる時間帯は、トイレの取り合いになる恐れがあります。また、子どもがある程度の年齢になると、親世帯とは生活の時間帯がずれてくるものです。夜間の使用が親世帯の睡眠を妨害しないように、「1・2階に1カ所ずつ」を基本に考えてください。

夫婦のみ

夫婦ふたり暮らしの場合は、1カ所でもOKです。ただし夫婦どちらかが、特別トイレの時間が長いという場合は、できれば2カ所あるとストレスが軽減されるでしょう。

両親と夫婦と子ども

両親と夫婦と子どもという、いわゆる「三世帯同居」の場合、同居のスタイルによって必要なトイレの数は変わってきます。まず、トイレを共有する「完全同居型・部分共用型」では、最低でも2カ所は必要です。もし介護が必要な状況ならば、親世帯の寝室付近にバリアフリーのトイレをもう1カ所増やす必要があるかもしれません。世帯ごとにフロアが完全にわかれる「完全分離型」の場合は、親世帯に1カ所、子どもと孫の世帯は2カ所あればベストでしょう。いずれにしても、トイレが増えればその分コストがかかります。予算オーバーがないように利便性とコストのバランスもしっかりと検討してください。

トイレの設備や間取り面で考えるべきこと

トイレの場所と数がわかったところで、今度は必要な設備や間取りについて考えていきましょう。考えるべき項目は以下の6点です。

  • トイレの広さ
  • 壁は問題ないか
  • 床は問題ないか
  • 照明は問題ないか
  • 手洗いカウンターはあるか
  • 収納スペースはあるか

詳しく解説します。

トイレの広さ

トイレの広さは、マンション0.4坪、戸建て0.5坪が標準の広さになります。バリアフリー対応になると最低0.75坪、介助が必要な場合、できれば1坪タイプを選びたいところです。ただし、介護がなくても、現在の感覚だと0.5坪では少々手狭だと思います。したがって、1階0.75坪、2階0.5坪を基準に計画を立ててみてください。

壁は問題ないか

トイレはどうしても汚れやすいので、サンゲツの「フィルム汚れ防止壁紙※」のように、汚れ防止や抗菌加工がしてあるタイプの壁紙をオススメします。色や模様については、大柄で色の濃い壁紙は避けた方が無難でしょう。部屋が狭く見え、汚れにも気がつきにくいからです。もし、柄物や濃い色を使いたいのであれば、1面だけ「アクセントクロス」にすると、オシャレな空間を演出できます。また、手すりが必要な場合は、取り付け位置にあらかじめベニヤ板で下地をつくっておく必要があります。入れ忘れのないように、早めに打ち合わせをしておきましょう。サンゲツ「壁紙の選び方」

床は問題ないか

床も壁同様、汚れのつきにくい材質を選んでください。耐水性・キズへの強さなどを考慮すると、トイレの床は「ビニールクロス」一択でしょう。色に関しては、飛び散りの汚れが壁よりも激しいので、やはり汚れがすぐにわかる薄めの色がオススメです。また、将来親と同居を視野に入れている場合は、車椅子を想定して段差をつくらないように設計しておきましょう。

照明は問題ないか

若くて健康なうちは、あまりトイレの照明にこだわる必要はありません。しかし、高齢者や小さい子どもがいる家庭には、トイレへ入った瞬間にライトが点く「人感センサーライト」をオススメします。もちろん、どこにも手を触れることなく、退出後は自動的に消灯する優れものです。最近では寿命の長いLED照明が主流になってきており、ほとんどメンテナンスに煩わされることもないでしょう。

手洗いカウンターはあるか

手洗い部分のないタンクレストイレを選ぶ人が増えてきたため、トイレ内部に手洗いカウンターを設置するケースが激増しています。ただし、トイレを洗面所の隣に設置する場合も多く、実際はほとんど使っていないという意見も少なくありません。おそらく手洗いが小さいので、飛び散りを気にして思い切り洗えないのが原因でしょう。独立した手洗いは場所を取りますので、どうしても設置するなら、収納もできる「壁埋込み型」をオススメします。

収納スペースはあるか

トイレットペーパーや掃除器具などは、できればトイレ内部に保管しておきたいものです。埋込式の手洗いが設置されていれば、下部が収納になっているので、一通りのものは問題なく整理できるでしょう。もし埋込式の手洗いがない場合は、上部に吊戸棚を設置するなどして収納を確保しなくてはなりません。その場合は最低でも0.5坪はないと、かなり圧迫感をおぼえるでしょう。そういった意味でも、やはりトイレの広さは0.75坪あると安心です。

トイレの種類

トイレは大きく以下の3種類に分類されます。

  • タンク付きトイレ
  • タンク一体型トイレ
  • タンクレストイレ

どの種類を選ぶかで、使い勝手と費用がまったく違ってくるのがトイレです。ひとつずつ、特徴と概算費用を解説していきます。※価格は希望小売価格

タンク付きトイレ

タンク付きトイレは、別々になっている便器とタンクを現場で組み合わせる、いわゆる「廉価版」のトイレです。ただ昔と違い、今のタンク付きトイレは性能もデザインも洗練され、一昔前のトップグレードとなんら遜色ないクオリティを持っています。さらにタンク式なので、水圧が低い場所でも問題なく使えるのは大きなメリットです。デメリットとしては、組み立て式なのでどうしても接続部に汚れが溜まりやすく、不衛生になりやすいことでしょう。いずれにしても、せっかくの注文住宅ですから、積極的にオススメするタイプではありません。

タンク一体型トイレ

文字通り、タンク・便器・ウォッシュレットが一体型になったタイプです。一体型ですから、タンク付きトイレの欠点である「掃除のやりにくさ」がほぼ解消されています。また、タンクありとタンクなしが選べるようになっていて、タンクなしはほぼタンクレスと変わらない「ボディの低さ」を実現しました。その高いデザイン性にもかかわらず、価格はタンクレスの半分以下ということもあり、タンク一体型トイレを選ぶ人も少なくありません。

タンクレストイレ

さきほど、「タンクなし一体型トイレ」と「タンクレストイレ」のデザイン性は、ほぼ遜色ないといいました。しかし、並べて見れば一目瞭然、タンクレストイレの「デザイン性の高さ」は圧倒的です。名前の通り、完全にタンクがないので、後部までほぼフラットなフォルムを維持しています。タンク付きトイレと比較すると、掃除は本当に「サッとひと拭き」くらいのイメージです。ただし、タンクではなく水道管直結方式なので、断水時には使えません。また上述の通り、手洗いがないため、別途手洗いをトイレ内に設置する人もたくさんいます。しかし、デザイン性・性能・掃除のしやすさを総合的に考えると、間違いなくタンクレスがオススメです。なかには60万円を超えるプレミアムバージョンもありますが、通常は以下のように、タンク一体型ともそれほど大きな価格差はありません。

注文住宅でトイレを設置する際に気を付けるべき点

これまでに、さまざまなチェックポイントに触れてきましたが、最後に「注文住宅でトイレを設置する際に気をつけるべき点」を4点ほどまとめておきます。

  • 風通しが良いか
  • 明るさがあるか
  • 音やにおいで問題がないか
  • 掃除などのメンテナンスはしやすいか

風通しが良いか

トイレを清潔に保つためにも、窓の位置や大きさを計算して、できるだけ風通しの良い状態にしたいものです。トイレに窓がないと聞けば驚くかもしれませんが、マンション暮らしが長い人のなかには、逆に窓があると落ち着かないという人もいます。実際、換気扇を24時間稼働させれば、大きな問題はないのかもしれません。とはいえ、日光が入れば多少なりとも殺菌作用がありますし、外が見えれば閉塞感も軽減されます。「道路に近くて防犯面が不安だ」というような特殊な理由でもない限り、しっかりと風が通るように設計してもらいましょう。

明るさがあるか

トイレはどうしても狭くて汚いイメージがつきものです。そういったイメージを払拭するためにも、窓からできるだけ明かりを取り入れて、明るい空間を演出しましょう。また上述のように、高齢者や小さい子どもがいる家庭では、人感センサーライトがオススメです。トイレの明るさには諸説ありますが、500ルーメン前後のLED※がもっとも適していると思います。価格が3,000円程度と手頃なのも嬉しいところです。

音やにおいで問題がないか

トイレは音やにおいが発生する特殊な場所です。そのため、ほかの部屋との距離や位置関係に配慮する必要があります。においという面では、やはりキッチンの隣は絶対に避けなければなりません。換気のために窓を開放することも考えると、道路に近すぎる場所も避けたいところでしょう。音に関してまず考えるべきは、リビングからの距離です。人が集まるリビングに近すぎると、落ち着いてトイレを使用できません。また、夜間の使用に対する配慮も必要でしょう。2階の配管は、できるだけ親の寝室に影響のないルートで計画しておくべきです。とはいえ、2階の配管ルートは、実際の現場状況に合わせてその場で決めていくことも少なくありません。その際に寝室へ影響のないルートで配管してもらえるように、事前に打ち合わせしておきましょう。

掃除などのメンテナンスはしやすいか

トイレはその性質上、非常に汚れやすい場所といえます。そのため、壁や床に汚れ防止効果のある素材を選ぶ必要があるというのは、すでにお伝えした通りです。トイレ本体も、掃除のしやすい「タンクレストイレ」をオススメしています。たしかに価格は高いですが、長期間の手間を考えれば、必ずタンクレスを選ぶべきです。また、ストレスなく掃除をするには、ある程度の広さが必要になります。介護なども考慮して、できるだけ0.75坪以上の広さを確保しましょう。

暮らし始めてから後悔しないようにしよう

トイレは毎日使うものでありながら、その性質上、熱心に計画を立てられることは少ないように感じます。そして、ハウスメーカーの薦められるままなんとなく決めてしまったために、実際に暮らしはじめてから後悔する人も決して少なくないのです。当記事では、トイレの場所・数・注意すべきポイントについて詳しく解説してきました。これらに注意をすれば、大きな問題に陥ることはありません。安心してください。あとは、注文住宅のカタログを見ながら、トイレ周りのイメージを固めていくだけです。

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