注文住宅の代表的なトラブル8選!予防策や対処法と合わせて紹介します

せっかく家を建てるなら、理想を盛り込んだ注文住宅にしたいという人は、たくさんいらっしゃいます。しかし注文住宅はまったくのゼロから作り上げていくため、イメージの違いや伝達ミスによる施工の不具合などが起こりやすいのです。そういったトラブルを回避するためには、よく起こるトラブルを事前に把握して、いつでも対応できるようにしっかりと準備しておくしかありません。そこでこの記事では、着工前・施工中・施工後それぞれに起こりうるトラブルと、その予防策について解説していきます。併せて、トラブルが起こってしまった場合の対処法もご紹介しますので、注文住宅のトラブルに不安を感じている人はぜひ参考にしてください。

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着工前のトラブルと予防策

注文住宅のトラブルは、施工中だけでなく、着工前におこなわれる契約などに関しても多発している状況です。この章では、着工前に起こりがちな下記のトラブル3点について、詳しく解説していきます。

  • 仮契約でのトラブル
  • 値引き交渉によるハウスメーカーとのトラブル
  • 住宅ローンのトラブル

仮契約でのトラブル

意中のハウスメーカーが決まったら、ほとんどの場合、本契約の前に「仮契約」の締結を求められるでしょう。仮契約は法律で定められたものではないので、本来契約の義務はありません。しかし、詳細なプランや資料を作成するためにはコストが掛かりますので、慣例として仮契約を結ぶケースが一般的です。ですが、いくら本契約ではないといっても、仮契約書に記載されている内容には法的責任が発生します。例えば「仮契約を途中でキャンセルした場合、申込金は返済しない」と記載されていれば、相手とトラブルが発生してキャンセルを希望しても申込金は返ってきません。また、相場よりも高い申込金を要求されるケースもあります。仮契約の申込金の相場は、おおよそ5〜10万円です。仮にキャンセルできない契約で100万円払ってしまえば、当然100万円は返ってきません。こういった仮契約のトラブルを回避するには、「申し出があればキャンセルは可能」「キャンセル時には、申込金を全額返金する」といった文言を契約書に入れてもらいましょう。

値引き交渉によるハウスメーカーとのトラブル

住宅建築は他社との競争ですから、どのハウスメーカーも、最初からある程度の値引きは想定して価格を提示しています。だからといって、過剰な値引きを要求するのは絶対に止めるべきです。もしあなたが「大幅に値下げをしてくれたら契約する」と迫った場合、契約のほしいメーカーは受けてくれるかもしれません。しかし、ハウスメーカーも過度に利益を下げるわけにはいかないので、その分、施工の品質を落として補填をおこなわざるを得なくなります。ベテランの職人ではなく若手が施工をおこなう…監督が現場に行く回数を減らす…目に見えない部分の材質を落とすなどがおこなわれれば、当然住宅の品質は悪化するでしょう。いくら支払いが安くなっても、これではわざわざ注文住宅にした意味がありません。

住宅ローンのトラブル

注文住宅では下記のような理由で、住宅ローンの融資額では返済が足りなくなってしまうケースがあります。

  • 付帯工事費や諸費用を計算してなかった
  • 追加工事で支払額が大幅に増えた
  • 融資実行日前に、土地代金を支払う必要がある

注文住宅は、建売と違い、①着工金 ②中間金 ③竣工金のように、工事中に何度か支払いが発生します。事前に土地を購入していれば、建築前に土地代金も全額支払わなくてはなりません。しかし、通常建物のローン融資が実行されるのは、建物の引き渡し時です。こういった説明をハウスメーカーからきちんと受けていないと、予期せぬ支払いに対応できない可能性も出てきます。そのため土地代金や中間金など、節目ごとに融資を実行してくれるタイプのローンを検討しましょう。もしくは「つなぎローン」を利用するという方法もあります。

施工中のトラブルと予防策

住宅建築はその性質上、ある程度の騒音は避けられません。ましてや注文住宅は建売住宅よりも工期が長いですから、どうしても近隣へ大きな負担を掛けがちです。この章では、施工中の2大トラブル「近隣住民との揉めごと」と「工期の遅れ」について、予防策と併せて解説します。

近隣住民との揉めごと

住宅建築では、現場で加工をしたり車両が頻繁に出入りしたりと、どうしても騒音やゴミ、ホコリなどが発生しやすくなります。また、工事のスタートは比較的朝早く、土曜日や祝日も工事をするケースが多いです。休日に自宅でゆっくりしている人にしてみれば、ちょっとした物音でも思わずクレームをつけたくなるのは無理もありません。通常工事がはじまる前に、現場担当者と一緒に施主も近隣に挨拶回りをします。しかし、途中でクレームが入った場合は、改めて施主が自らお詫びにいくべきです。なんといっても、施主はこれから長期間、近隣の人たちと関わりながら生活していかなくてはなりません。お詫びの品を持って、しっかりと挨拶をしておきましょう。

工期の遅れ

一般的な注文住宅の工期は、おおよそ4〜6カ月です。しかし、雨や雪が降ると作業ができない工程もたくさんあるため、梅雨の時期などはどうしても工期が遅れがちになります。また、注文住宅は、材料や設備機器も手配に時間が掛かるものが多いので、建材メーカーの在庫状況によっては、現場への納入が遅れることも考慮しなくてはなりません。とはいえ、通常はそういった遅れも想定して工程は計画されています。よほどのことがない限り、引渡し日に遅れることはないはずです。ただし、もしハウスメーカーの都合で期日までに引渡しができない場合は、賠償金などの問題に発展するかもしれません。賠償金まではいかなくても、遅延により発生した仮住まいの費用など、補償は間違いなく発生します。工期の遅れを証明するためにも、契約時に引渡し日が明示された書類を必ずもらうようにしてください。

施工後のトラブルと予防策

住宅のトラブルは、工事完成後にはじめて発覚するものがたくさんあります。せっかく希望を盛り込んでもらった夢のマイホームなのに、仕上がりがまったくイメージと異なっていたら、間違いなく大きなトラブルになるでしょう。施工後の主なトラブルは下記の3点です。

  • 完成物件がイメージと異なる
  • 施工の不具合がある
  • 想定外の追加費用がかかった

それでは、上記3点の内容と予防策について詳しく解説していきます。

完成物件がイメージと異なる

注文住宅では、できあがりのイメージが予想していたものと異なる場合があります。もし、施主が伝えていた希望とまったく別なものになっていれば、工事のやり直し、もしくは賠償金が発生する場合もあるでしょう。一方、設計・施工ミスではないものの、なんとなくイメージが違うというケースは対応が困難です。人為的なミスでもない限り、基本的には施主側が我慢するしかありません。打ち合わせを重ねる中で、施主の希望を基に間取りや使用建材などを決めていきます。しかし、建築の素人である施主の希望を正確に伝えるのはなかなか難しいものです。予防策としては、自分の希望を口頭だけでなく、イメージに近い写真や雑誌を見せながら説明していくのがもっとも確実でしょう。逆に住宅メーカーからは、住宅の模型やCGパースなどで、かなり具体的に完成予想図を見せてくれることが多くなりました。それでも、どうしてもイメージを100%共有することはできません。イメージの乖離は、特に内装やインテリアで起きるケースが多いです。小さなサンプルで使用建材を決めるのではなく、モデルハウスやOB住宅で実際に使っている状態を見させてもらうのも、非常に有効だと思います。

施工の不具合がある

床のキズや汚れなどの軽微なものから、基礎のひび割れや雨漏れといった重篤なものまで、残念ながら施工ミスに遭遇する可能性は決して少なくありません。こういった事態を避けたいなら、見えなくなる箇所を中心に、写真で定期的に報告してもらいましょう。とにかく目で見える証拠を提示してもらうのが、ミスを防ぐコツです。ちなみに一旦工事が完成してしまうと、少々のキズや壁紙の汚れなどは、補償してもらえない可能性があります。したがって、少なくとも完成前におこなわれる施主検査の際に、気になる点はすべて撮影・確認をしてください。そうすれば、よほどのことがない限り、きちんと相手の責任で対応してくれるはずです。また、構造上重要な部分(基礎、柱、梁など)の欠陥は、瑕疵担保責任といって「品確法」で修繕・補償などが定められています。ハウスメーカーも必ず「瑕疵担保責任保険」に加入していますので、気づいた時点ですぐに申し入れしてください。

想定外の追加費用がかかった

工事の途中で追加工事が発生して、想定外の追加費用が発生するトラブルもよくあります。もっともよくあるのが、外構工事で多額の追加費用が発生するケースです。これは説明が足りなかった建築側にも責任はありますが、よく工事内容を確認しないまま契約してしまった施主側にも問題があります。こういったケースを防ぐには、とにかく必ず契約に含まれる工事範囲と金額を、きちんと確認するしかありません。

注文住宅のトラブルを防ぐためにできること

ここまで、注文住宅のよくあるトラブルとその予防法について解説してきました。この章では、トラブル防止の方法についてもう少し深く掘り下げていきます。絶対に覚えておきたいトラブル防止の方法は、下記の5つです。

  • 業者任せにせず、家づくりの知識をつける
  • 業者・担当者を吟味する
  • 建てる家のイメージをきちんとすり合わせる
  • 契約内容や図面をしっかり確認する
  • 建築現場に足と運ぶ

詳しく解説します。

業者任せにせず、家づくりの知識をつける

ハウスメーカーは家づくりのプロだから、お任せしておけば大丈夫というスタンスは、トラブルの大きな原因になります。残念ながら、ハウスメーカーも商売です。必ず施主に有利な話をしてくれるとは限りません。トラブルが起きる原因の多くは、施主が知識を持って確認していれば防げるものばかりです。とはいえ、すべてのことに精通するのはさすがに無理があります。下記に挙げた項目だけでも、おおまかな内容を頭に入れておきましょう。

  • 住宅メーカーについて(会社の種類ごとの違い)
  • 注文住宅建築のおおよその流れ
  • 土地についての知識
  • 建物の主な工法(木造・鉄骨・RCなど)
  • 住宅ローンの基礎知識
  • 住宅購入に必要な税金

最低限上記の知識があれば、ハウスメーカーとの打ち合わせや現場確認の最中でも、おかしいところに気づけるはずです。自己防衛のためにも、分からないことをそのままにせず、自分でしっかりと調べるようにしてください。

建築会社・担当者を吟味する

注文住宅づくりでは、信頼できるハウスメーカー選びがもっとも大切です。どうしても名前の知れた大手メーカーにばかり目がいきがちですが、地元密着型の工務店にも実績のある優秀な会社はたくさんあります。また、会社選びも大事ですが、それ以上に「担当者を信頼できるかどうか」が非常に重要です。たとえば、以下の点は見ておいた方が良いでしょう。

  • 丁寧に質問に答えてくれるか
  • メリットだけでなくデメリットも説明してくれるか
  • 契約や提携ローンを無理強いしない

もし会社は気に入っているけど担当者と相性が良くないと感じるならば、迷わず担当替えを申し入れてください。それくらい担当者との相性は大事なことです。

建てる家のイメージをきちんとすり合わせる

前述の「施工後のトラブルと予防策」でもお話しましたが、施主とハウスメーカーの間でイメージの共有ができていないと、後々大きなトラブルの原因となります。口頭ではなかなかイメージを伝えにくいので、できれば写真などを見せながらイメージの共有を図るというのも、以前お伝えした通りです。また注文住宅はいくらでも希望を盛り込むことができますが、その分予算もどんどん増えていきます。通常は予算に限りがありますのでどこかで線引きが必要です。「何を優先して、何を諦めるか」その点をしっかり担当者と共有できれば、大きなトラブルにはならないでしょう。時間を掛けてじっくりとイメージのすり合わせをおこなってください。

契約内容や図面をしっかり確認する

会社によっても異なりますが、契約の際には5つの書類を渡されると思います。

  • 工事請負契約書(工事完了日・延滞賠償金などの記載は要確認)
  • 契約約款
  • 見積書
  • 設計図書(設計図・仕様書・仕上げ表など)
  • 工程表

注文住宅の場合は、取り決めた内容が契約書や設計図書に反映されているかを確認してから契約をするのが大事です。とはいえ、これらの書類はかなりのボリュームですから、当日すべてに目を通すのは難しいでしょう。事前に書類を見せてもらい、必要があれば第三者(設計事務所など)に確認してもらうのも良い方法です。

建築現場に足を運ぶ

現場の管理はハウスメーカーできちんとおこなってくれるはずですが、施主も折を見て建築現場に顔を出してみることをおすすめします。施主が現場に出入りすることで、現場に適度な緊張感が生まれます。施主が来なければ手抜きをするという意味ではありませんが、ミスを減らすには非常に効果的です。また、工事状況は現場監督が写真で記録して、あとから提出してくれます。しかし、完成後に隠れてしまう場所は、自分も現場に行き写真を撮っておくと良いでしょう。もしトラブルが発生した場合に、重要な証拠となります。ただ、あまり頻繁に行きすぎるのも逆効果です。せいぜい週に1回程度に抑えましょう。訪問する際には飲み物の差し入れなどをすると、現場員にも喜んでもらえます。

トラブルが起こってしまった場合の対処法

ここまで、起こりがちなトラブルとその予防法について解説してきました。この章では、不幸にもトラブルが起こってしまった場合の対処法を「着工前・施工中・施工後」に分けて解説します。

着工前のトラブルの対処法

上述の通り、着工前のトラブルは主に「仮契約でのトラブル」「値引き交渉によるハウスメーカーとのトラブル」「住宅ローンのトラブル」の3点です。これらに関しては、正直に言って、絶対的な対処方法がありません。とにかく契約の前に、きちんと内容を確認して、納得いかないことがあれば契約を取りやめるしか方法はないと思います。

施工中のトラブルの対処法

施工中のもっとも大きなトラブルは、まちがいなく「近隣住民との揉めごと」です。もし近隣住民から「騒音やホコリ・振動」などのクレームが来たら、まずは現場サイドにてクレーム内容に応じた対応策をおこなってもらいましょう。対応が済んだら、すぐに近隣へ挨拶に行きます。遠方に住んでいてすぐには来られないといった理由でもない限り、施主も同行した方が良いでしょう。繰り返しますが、施主はこれからこの場所で生活していきます。将来遺恨を残さないように「大変申し訳ありません。工事完成までどうかよろしくお願いします」と、しっかり頭を下げてください。

施工後のトラブルの対処法

上述の通り、施工後の主なトラブルは下記の3点です。

  • 完成物件がイメージと異なる
  • 施工の不具合がある
  • 想定外の追加費用がかかった

まずイメージが異なる問題についてですが、もし設計図書や仕様書と明らかに相違があるなら、完全な契約違反です。途中で設計変更の確約があれば別ですが、そういった打ち合わせがない場合は、建て直し、もしくは損害賠償といった話になってきます。契約違反のペナルティが明記されていなければ、弁護士などの専門家に相談するのが一番でしょう。また、「不具合や想定外の追加費用」に関しても、やるべきことは基本的に同じです。相手の明らかなミスなら、すぐに専門家へ相談してください。

トラブル予防には会社選びが重要

はじめて注文住宅を建てる場合、最初はハウスメーカーとの信頼関係も薄い状態ですし、自分の知識にも自信がありません。そういった状態で大きな金額の契約をするわけですから、トラブルが起こって大きな損害を受けたりしないか、誰もが不安に感じているものです。今回の記事では、着工前・施工中・施工後によく起こるトラブルとその予防法について、詳しく解説してきました。併せて、万が一トラブルが発生した場合の対処法についてもご紹介しましたので、もう記事を読む前のような不安は解消できたはずです。まずはカタログなどの資料請求をして、ハウスメーカーとのやり取りを始めてみて、相性や信頼できそうかをチェックしてみましょう。

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