ハウスメーカーのアフターサービスってどう?工務店との違いや比較方法

注文住宅を建てる際には、どうしても間取りやインテリアに目が向きがちです。しかし、実はそれ以上に重要なのが「アフターサービス」になります。というのも、アフターサービスは注文住宅に長く住む上で欠かせない要素だからです。そこで今回は、4点について詳しく解説していきます。「アフターサービスの重要性」「注文住宅のアフターサービス内容」「工務店とハウスメーカーの違い」「アフターサービスの比較方法」。注文住宅を検討中で、かつアフターサービスについて気になっている人はぜひチェックしてみてください。

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建築会社選びでアフターサービスは重要

建築会社を選ぶ際には、アフターサービスのクオリティが重要なポイントになります。しかし、上述の通り普通の人が気にするのは、まず「見た目」です。基礎や土台、梁、水道管の配管状況など、将来的な修繕に大きく関わってくる部分ほど隠れてしまいます。そのため、ほとんどの人はあまり興味を持ちません。2017年におこなったアンケートによれば、住宅購入時に「アフターサービス・保証制度」を重視する人は、わずか3割弱しかいないそうです。当たり前の話ですが、家は新築でも年月の経過とともに必ず劣化するのが住宅の宿命です。しかし、定期的にきちんと点検をして、適切なメンテナンスを施せば家は長持ちします。その結果、余計な出費を抑えることもできるわけです。

注文住宅のアフターサービスとは?

アフターサービスはたしかに重要ですが、注文住宅を建てると、アフターサービスとは別に保証も別途用意されています。両者の違いは一体何でしょうか。ここでは、アフターサービスと保証の違いについて、わかりやすく解説していきます。

アフターサービスとは

アフターサービスと保証には、法的に明確な違いはありません。実際、一般社団法人 不動産協会で定めている「戸建住宅アフターサービス規準」※を確認すると、アフターサービスと保証を同じ意味合いで使っています。ただ、一般的には法的に定められた不具合箇所への対応基準を「保証」といいます。一方、雨樋や外壁の水漏れなど、メーカーが原因ではないメンテナンス工事や故障・不具合の診断を、合わせて「アフターサービス」と呼ぶことが多いようです。※一般社団法人 不動産協会「戸建住宅アフターサービス規準」

保証との違い

上述の通り、アフターサービスが「点検・メンテナンス」、保証は「法律に基づいた一定期間の保証」というのが一般的な捉え方です。たとえば「積水ハウス」を例に挙げてみましょう。まず品確法で定められた10年間の「瑕疵担保責任期間」(後述します)に、積水ハウスが独自にプラスした20年間を合わせて合計で30年間、重要な構造体などに対して保証をしてくれます。また、30年間の保証期間終了後も、一定のメンテナンスを条件に、10年ごとに保証期間が延長(ユートラスシステム)※されます。この延長期間は、有料メンテナンスを受ける限り、実質住宅が取り壊されるまでの永久保証です。この「30年間保証+ユートラスシステム」が保証に当たります。一方、引き渡しから3カ月・1年・2年・5年・10年・15年・20年・25年の間隔で、点検員がマイホームを点検、必要があれば修理や調整をおこないます。こちらが、いわゆる「アフターサービス」です。※積水ハウス「積水ハウスの永年保証」

10年間は住宅瑕疵担保責任期間

保証期間は、大手ハウスメーカーで20〜30年、ローコストハウスメーカーでは10年間に設定しているケースが多いです。この10年間というのは、上述の通り、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で定められた瑕疵担保(かしたんぽ)責任期間※になります。品確法の瑕疵担保責任は、新築住宅の構造上重要な部分(基礎・壁・柱など)と、雨水の侵入を防ぐ部分(屋根・外壁・窓など)の瑕疵(汚れや欠陥)に対して、引き渡しから10年間、担保責任を負うという法律です。つまり、新築住宅を建てるハウスメーカーは、最低でも10年間の保証を義務づけられているということになります。※住宅の品質確保の促進等に関する法律

工務店とハウスメーカーの違い

注文住宅を建てるなら、名前の知れた大手ハウスメーカーと、地元に根ざした工務店のどちらが良いのでしょうか。結論から言うと、はじめて注文住宅を建てるのであれば、大手ハウスメーカーの方が無難です。なぜなら、大手ハウスメーカーには圧倒的資本力と信頼性があるので、住宅建築に起こりがちなリスクを回避しやすいからです。しかし、もちろん工務店が大手ハウスメーカーに、すべての面で劣っているわけではありません。それだけ規模の大きさによる信頼性のメリットが、大きいということです。今回の主題はアフターサービス(保証)ですので、大手ハウスメーカーのアフターサービスの優位性を下記の3つのポイントから解説します。

  • 倒産の心配が少ない
  • 期間が長い
  • サービス内容がきっちり決まっている

詳しく解説します。

倒産の心配が少ない

大手ハウスメーカーは地元工務店に比べて、倒産の心配の少なさが大きなアドバンテージです。上述した「瑕疵担保」に関していうと、新築を建築する会社は瑕疵担保責任保険への加入、もしくは事前に保証金を供託することが義務づけられています。したがって、仮に建築会社が倒産しても、第三者からの保証が受けられますので特に問題はないでしょう。しかし、マイホームにはこれから何十年も住み続けますので、ハウスメーカーによる定期的なアフターサービスは欠かせません。その点、地元工務店は経営規模の小さい会社が多いので、万が一倒産した場合は将来的なサポートに不安が残ります。

期間が長い

瑕疵担保の保証期間は、どのメーカーも10年間と決まっています。大手ハウスメーカーは、その10年間にプラスして、以下のように合計で20〜30年を基本的な保証期間に設定している場合が多いです。

会社名保証期間延長条件点検

積水ハウス初期保証30年10年毎の有料点検3カ月・1年・2年・5年・10年・15年・20年・25年、30年以降は10年毎に有料点検
最長保証60年〜
ダイワハウス構造上重要な部分の保証15年毎の有料点検1カ月・6カ月・1年・2年、以降15年毎に有料点検
初期保証30年
最長保証60年〜
ヘーベルハウス構造上重要な部分の保証30年目に集中有料点検が必要2年目まで毎年、以降5年毎
初期保証30年
最長保証60年〜
三井ホーム構造上重要な部分の保証なし3カ月・2年・5年・10年・20年・30年まで無料。以降10年毎に有料点検
初期保証30年
※10年毎の有料点検必要

小規模な工務店やローコストハウスメーカーは、瑕疵担保責任10年間を住宅の保証期間としている場合が多いです。上記の表を見てもわかる通り、やはり保証に関しては圧倒的に大手ハウスメーカーが充実しています。

サービス内容がきっちり決まっている

大手ハウスメーカーの場合、アフターサービス・保証内容が明示されています。一方、工務店のなかには、保証内容・期間を明確にしていないケースがよく見受けられます。もちろん、アフターサービスや保証にはきちんと対応してくれる会社がほとんどです。しかし、いつ・どこまでサポートしてもらえるかがはっきりしていないと、トラブルに発展する可能性も否定できません。ただ、大手ハウスメーカーでも会社ごとにサービス内容は異なります。しっかりとサービス内容と期間を確認しておきましょう。

便利なサービスが利用可能

大手ハウスメーカーは資本力がありますので、地方の工務店にはない便利なサービスを提供してくれているケースが多いです。よくあるサービスが、「オーナー向けサイト」と「24時間365日受付のコールセンター」でしょう。OB向けオーナーズクラブでは、下記のようなさまざまなサポートを展開しています。

  • メンテナンス方法などの生活お役立ち情報
  • 賃貸・不動産投資サポート
  • 各種イベント、セミナー開催
  • インテリア通販
  • 税務、ファイナンシャルに関する相談
  • 転勤など一時的に自宅を不在にする場合の「マイホーム借り上げ制度」
  • 売却サポート

また、ほとんどのメーカーでは24時間365日受付のコールセンターにて、急な水漏れや、エアコン・給湯器の故障、鍵の紛失、リフォームの相談などに対応してくれます。

アフターサービスはどうやって比較する?

名前の知れたメーカーならば、基本的にどこも一定水準以上のサポートをしてくれます。したがって、あとは細かい違いを比較しながら、もっとも納得できるアフターサービスを選んでいくだけです。ここでは、どういったポイントから、各メーカーのサービス内容を比較していけばいいのかを解説していきます。

  • 期間で比べる
  • 料金で比べる
  • 保証内容の範囲で比べる
  • サービスを行う業者で比べる

詳しく解説します。

期間で比べる

「期間が長い」の項目でも紹介しましたが、大手ハウスメーカーの初期保証期間は、ほぼすべての会社が30年を基準にしています。中規模のハウスメーカーの場合は20年、ローコストハウスメーカーなら10年がひとつの目安でしょう。とはいえ、タマホームのようにローコスト住宅でも最長60年の保証※(グレードによる)をしているメーカーもあるので、カタログやホームページできちんと確認してください。また、大手ハウスメーカーの30年間保証は、あくまでも構造上重要な部分に対してだけです。防水や防アリ、設備機器などに対する保証はそれよりも短いことが多いので、併せて確認しておきましょう。※タマホーム「保証とサポート」

料金で比べる

上述の積水ハウスやダイワハウスのように、初期保証完了までアフターサービスは無料、それ以降は10〜15年ごとに有料点検・メンテナンスを受ければ、その期間の保証を延長するシステムが主流です。一方、三井ホームやタマホーム、セキスイハイムなどは、実質10年間の瑕疵担保期間が基準になっており、10年ごとに有料の点検・メンテナンスが義務づけられています。また、点検とメンテナンスは無料でも、30年の初期保証終了時に集中メンテナンスを受けなければならないのが、ヘーベルハウスです。集中メンテナンス料金の詳細な内訳は提示されていないので、各ハウスメーカーに直接ヒアリングして比較する必要があるでしょう。

保証内容の範囲で比べる

保証期間だけでなく、どこまで保証をしてくれるのかも非常に重要なポイントです。ほとんどの会社では保障範囲を下記のように分類しており、保証期間もそれぞれ異なります。

  • 基礎などの「構造上重要な部分」
  • 屋根や外壁などの「雨水の侵入を防止する部分」
  • キッチン、エアコンなどの「住宅設備機器」
  • 防蟻工事

また、室内床や外部の給排水設備などを保証するハウスメーカーもあるので、気になるメーカーの公式サイトで保証内容を確認してみてください。

サービスをおこなう業者で比べる

ハウスメーカーのなかには、アフターサービスを専門業者に委託しているケースがあります。「委託」と聞くと、あまり良いイメージを持たない方もいるかもしれません。しかし、メーカーの基準に沿ってきちんと対応してくれるので、そういう意味では安心していただいて大丈夫です。委託を利用しているのは、ほとんどがローコストハウスメーカーなので、そのぶん低価格で住宅を手に入れられると割り切って考えるべきでしょう。しかし、委託先会社が倒産した場合など、対応に多少の不安が残るのも事実です。余計なトラブルを回避するためにも、委託する会社の情報やトラブルになった場合のハウスメーカーの対応などを、事前に確認しておきましょう。

ハウスメーカーのアフターサービスの注意点

ここまでハウスメーカーのアフターサービスについて解説してきましたが、注意すべきポイントについて、改めて確認しておきましょう。

長期保証は、厳しい条件があることも

10年間保証のメーカーもありますが、大手ハウスメーカーでは、ほとんどが30年間を基準にしています。さらに最長60年間、実質は建物を取り壊すまでの永年保証を謳っていることも多いです。ただし、60年間の長期保証には、必ず有料の点検・メンテナンスを求められます。そのような条件は、こまかく読みにくい字で目立たないように書かれているため、注意が必要です。また、設計・施工・アフターサービスを一貫して見てもらえるのは、たしかに大きなメリットです。しかし、ハウスメーカーでは担当者が数年で移動してしまう問題もあります。さらに、ハウスメーカーのアフターサービス費用は割高なことが多く、専門業者に別途依頼した方が安いケースも少なくありません。長期保証という宣伝文句に、過度に踊らされることのないように、長期保証の条件を必ず確認しておきましょう。

住宅瑕疵担保責任期間を除いて比較する

上述の通り、ハウスメーカーの保証期間は、メーカーによって10〜60年と幅広く設定されています。もちろん保証期間は長いに越したことはありません。しかし、今は基本的な住宅性能が向上しているので、「10年の保証でも十分、それよりも住宅価格を安くしてくれた方が良い」という考えの人もいます。問題なのは、10年間の保証をあたかも自社のサービスとして打ち出しているケースです。上述の通り、10年間の保証は法律で定められた義務です。実際には、そういった不誠実な会社はそう多くありませんが、甘い宣伝文句に乗せられないように気をつけましょう。

大手ハウスメーカーはアフターサービス観点では低リスク

注文住宅を建てる場合、ハウスメーカーと工務店のどちらにするかで悩む人はたくさんいます。どちらにもメリット・デメリットがありますので無理もないことです。しかし、マイホームを長期間維持していくためには、価格やデザインだけでなく、アフターサービスも重視する必要があります。アフターサービスの観点から見ると、大手ハウスメーカーを選ぶのが、リスクのもっとも少ない方法です。上述した点を理解すれば、アフターサービスの比較方法や注意点について十分な知識を持っています。

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